プラチナ・カードはアメリカン・エキスプレスで最もよく知られた上位カードで、法人口座からソフトウェア、広告、通信、出張の費用を支払う人のための「ビジネス版」があります。アメリカン・エキスプレスは、プラチナ・カードを米国とカナダで1984年に発売したと説明しています。また、会社そのものは1850年まで遡り、三つのライバル企業が事業を一つにまとめて生まれたとされています。ビジネス・プラチナ・カードは、その看板を土台に、事業の支出に合わせたクレジットを加えたカードです。

この記事では、米国で発行されているビジネス・プラチナ・カード(以下、ビジネス・プラチナ)を取り上げます。年会費は895ドルです。公式ページには多くのクレジットが並びますが、その多くは、登録や利用額の条件がついています。判断の軸は、一覧のどれだけが、もともと使うはずだったお金に当たるか、です。

年会費

895ドル。公式ページの表記です。

旅行

最大600ドルのホテル・クレジット、最大200ドルの航空会社の手数料クレジット、1,550か所以上のラウンジがあります。

ビジネス向け

Dell、ChatGPT Business、Adobe、Indeed、携帯電話のクレジットがあり、多くは登録が必要です。

ポイント

Amex Travel で予約する航空券と事前決済ホテルで5倍。主要なビジネス費目、または1回5,000ドル以上の購入で2倍です。

先に知っておきたい注意点

年会費が895ドルあるため、期待外れになりうる点を先に確認します。

以下は2026年10月29日時点の、アメリカン・エキスプレス米国公式サイトの表記に基づきます。特典や条件は変わることがあり、最終的な条件は申込時に表示される規約が基準です。

多くのクレジットは登録か利用額が条件

Hilton、Dell、ChatGPT Business、Adobe、Indeed、携帯電話のクレジットには、いずれも「登録が必要」と書かれています。Adobe のクレジットは、暦年にAdobeへの米国内での直接の購入が600ドル以上になって初めて、250ドルが戻ります。Dell のクレジットは、基本の150ドルに加え、対象の購入が5,000ドル以上になった場合に、さらに1,000ドルが加わります。使わない会社のクレジットは、何の価値も生みません。

ホテルの条件が変わる

The Hotel Collection は、最低2泊が条件です。公式ページには、2027年1月1日以降、Fine Hotels + Resorts の予約も、600ドルのホテル・クレジットの対象になるには最低2泊が必要になると書かれています。

携帯電話のクレジットは対象が絞られる

携帯電話のクレジットは、米国の携帯電話事業者から直接購入した通信サービスに対して、毎月最大10ドル、年間で最大120ドルが戻ります。公式ページによると、2027年2月17日以降は、対象が一部の加盟店に限られます。この特典を前提にするなら、対象の加盟店を規約で確認してください。

大きな金額は25万ドルの利用の先にある

2,400ドルの American Express One AP のクレジットと、1,200ドルの Amex Travel でのオンライン航空券のクレジットは、暦年に対象の購入が25万ドルに達して初めて解放されます。しかも、使えるのは翌年の暦年です。1枚のカードにそれだけの金額を載せる事業でない限り、この二つは見積もりに入れないほうが安全です。

クレジットを正直に合計してみる

公式ページに載っているクレジットを、表にまとめます。通常の利用で得られるものと、条件が必要なものが分かるようにしました。

クレジット ページの金額 条件の要点
ホテル・クレジット 最大600ドル(半年ごとに最大300ドル) American Express Travel を通じて予約する、事前決済の Fine Hotels + Resorts または The Hotel Collection
Hilton クレジット 最大200ドル(四半期ごとに最大50ドル) 登録が必要。Hilton への直接の対象購入
航空会社の手数料クレジット 暦年で最大200ドル 選んだ1社が請求する付随料金
CLEAR Plus クレジット 暦年で最大219ドル 自動更新のCLEAR Plus会員
ChatGPT Business クレジット 暦年で最大300ドル 登録が必要。米国でのChatGPT Business の購入
Adobe クレジット 暦年で250ドル 登録が必要。Adobe への直接の購入が600ドル以上
Indeed クレジット 最大360ドル(四半期ごとに最大90ドル) 登録が必要。Indeed での購入
携帯電話クレジット 最大120ドル(毎月最大10ドル) 登録が必要。2027年2月17日以降は一部の加盟店のみ
Dell Technologies クレジット 最大150ドル、さらに5,000ドルの購入で追加1,000ドル 登録が必要。Dell への米国内の直接の購入

Dell の追加1,000ドルを除くと、この9種類の合計は2,399ドルです。追加分を含めると3,399ドルになります。どちらも、すべてのクレジットを満額で使った場合の数字で、上限です。期待値ではありません。アメリカン・エキスプレスは「年間4,000ドル以上の価値を引き出せる」としていますが、この数字にはラウンジ網や Fine Hotels + Resorts の特典なども含まれています。広告上の計算と受け止め、自分で数え直すのが安全です。

自分の数字を出す方法

クレジットを一つずつ見て、「このクレジットがなくても、今年、その会社に同じくらい払っていたか」を考えます。Adobe、携帯電話、Indeed の求人、ChatGPT Business にもともと支払っている会社なら、本物の節約になります。クレジットを使うために、新しくそれらを契約する会社にとっては、節約ではなく支出の増加です。前者だけを数えて、895ドルと比べてください。

旅行の特典

旅行の面は、個人向けのプラチナ・カードに近い内容です。

グローバル・ラウンジ・コレクション

公式ページによると、850ドル以上の年間価値があり、センチュリオン・ラウンジ、対象のデルタ便に搭乗するときの10回分のデルタ・スカイクラブ、プライオリティ・パスの会員資格(登録が必要)、そのほか選ばれた提携ラウンジを利用できます。

Fine Hotels + Resorts と The Hotel Collection

Amex Travel で Fine Hotels + Resorts を予約すると、1回の滞在あたり平均550ドルの特典が受けられると、公式ページに書かれています。この数字は2025年の2泊の予約に基づく平均です。The Hotel Collection では、AmexTravel.com で2泊以上を予約すると、対象の費用に使える100ドルのクレジットがつきます。対象の費用は施設によって異なります。

リーダーズ・クラブとプラチナ・トラベル・サービス

The Leading Hotels of the World の「リーダーズ・クラブ」のスターリング会員資格が無料でつくと書かれています(登録が必要)。プラチナ・トラベル・コンサルタントは、旅行に合わせた旅程や提案を行う専門家と説明されています。

グローバル・エントリーまたはTSA PreCheck

グローバル・エントリーの申込料として120ドル、またはTSA PreCheck の申込料として最大85ドルが、4年ごとにステートメント・クレジットで戻ります。申込料をこのカードで支払った場合が条件です。

ポイントの仕組み

ポイントは、事業の支出に合わせた設計になっています。

  • 5倍:Amex Travel で予約する航空券と、事前決済のホテル。AmexTravel.com で予約するすべての航空券も5倍です。
  • 2倍:主要なビジネス費目の対象購入、または1回5,000ドル以上の購入。暦年で200万ドルまでが対象です。複数のボーナスに当てはまる購入は、最も高い一つだけが適用されます。
  • 1倍:その他の対象購入。
  • 航空券の35%ボーナス:Amex Travel で、選んだ航空会社の航空券にポイントで支払うと、使ったポイントの35%が戻ります。暦年で最大100万ポイントまでです。

ビジネス向けの機能

ペイ・オーバー・タイム機能があり、利息を払って、設定された上限まで残高を持ち越せます。利用限度額は事前に設定されておらず、公式ページは、購入、支払い、信用履歴に応じて、使える金額が変わると説明しています。申込時には、クラシックなメタルかミラーのデザインを選べます。また、Tishman Speyer の「American Express ZO メンバーシップ」が、米国の一部の都市で無料でつくと書かれています。

1850年に始まった会社

アメリカン・エキスプレスの始まりは1850年にさかのぼります。沿革によると、三つのライバル企業が一つになって会社が生まれ、設立の書類には1850年3月18日に署名されました。のちに同社は、旅行と、会員や事業者向けのサービスで、評判を築いていきます。

この背景を知ると、ビジネス・プラチナの設計が理解しやすくなります。旅行のカードであり、同時に事業の経費のカードでもあります。片方にはホテルと航空会社のクレジット、もう片方にはソフトウェア、求人、通信のクレジットが並びます。その費目に支出する事業にとっては、意図した組み合わせです。そうでない事業にとっては、二つの半分が別の方向を向きます。

毎年見直したいこと

このカードのクレジットは、半年、四半期、毎月、暦年と、区切りがバラバラです。入会後は、クレジットを一覧にして、使った分を記録しておくと管理しやすくなります。特に、四半期ごとのHilton、Indeed のクレジットや、半年ごとのホテル・クレジットは、期間の終わりが近づいてから慌てがちです。

また、2027年にはホテルと携帯電話の条件が変わると、公式ページに書かれています。特典は更新のたびに見直されます。持ち続けるかどうかは、年に一度、使ったクレジットの合計を記録したうえで、895ドルと比べて判断するとよいでしょう。

個人向けのプラチナ・カードとの違い

同じ年会費895ドルの個人向けプラチナ・カードと比べると、ビジネス・プラチナはクレジットの種類が、事業の費目に寄っています。個人向けにはUber、Resy、lululemon、Walmart+ などがあり、ビジネス向けには Dell、Adobe、Indeed、ChatGPT Business などがあります。旅行の面は、ラウンジ、Fine Hotels + Resorts、ホテルと航空会社のクレジットが共通しています。

どちらを選ぶかは、普段の支出がどちらの費目に近いかで決まります。個人事業主で、事業の費用と個人の支出を分けているなら、ビジネス向けの費目に多く支払っているかを確認してください。個人の暮らしの支出が中心なら、個人向けのほうが特典を使いやすいでしょう。

向いている人

ビジネス・プラチナは、出張があり、Amex Travel でホテルを予約し、クレジットの一覧にあるソフトウェアやサービスにもともと支払っている事業に向いています。そうした事業なら、895ドルは回収できます。クレジットを使うために購入を変える必要がある事業にとっては、使わない特典の請求書です。

判断のために、次の三点を確認してください。

  1. 9種類のクレジットのうち、今年、事業がもともと払っていたものはどれか。その合計はいくらか。
  2. Amex Travel を通じて、2泊以上のホテルと航空券を予約するか。
  3. 1枚のカードに、Dell の5,000ドルの条件、あるいは25万ドルの条件に届くだけの支出を載せられるか。

正直に数えた合計が895ドルを超えるなら、このカードは元が取れます。近い額なら、ラウンジやホテルの特典が決め手になるでしょう。大きく下回るなら、年会費の低いカードのほうが合っています。

本記事の内容は2026年10月29日時点のアメリカン・エキスプレス米国公式サイトの表記に基づきます。最終的な条件は、申込時に表示される規約と画面が基準です。